C'est la vie

新大陸の湖畔

海の向こう側

銀座を歩くと誰も知らない私のことなんか、と口ずさむ。

新宿を歩くと、そこにはギターを片手に豪雨を叫ぶ少女がいる。

君の影が揺れている 今日限り会える日時計 いつもの夏がすぐそこにある証

まだ見ぬ歌舞伎町には女になった私がそこにいる。

 

沢山の憧れを追いかけて、近付いたと思う度私は自分の皮膚に付いたメッキを丁寧に剥がす作業を強いられるのです。不純物を取り除くかのように。純度の高い夏が終わり、深まりの秋が始まります。

 

 盛者必衰をいつも考えています。栄えあるものは必ず終わりを見つめているのです。

きっと夏の純度はいつ訪れるか分からない終わりに怯えながら生きていました。

でも今なら、終わりが必ずあるから今を生きようと思えるのです。

今なら潔く終わりを迎えられます。だから、今が際立ってきます。そう思わせてくれた貴方がいるのです。

 

夕日を映す海を見たことがありますか?

段々のっとりと海の向こうに落ちていく夕陽に比例するかのように、海の鏡に映る煌めきは色を濃くしていきます。

一つとして同じ型にはならないけれど、その燃えるような煌めきが、あの絵に似ているのです。

モネが最期に残した色はなんだと思います?

あんな、夕日の光を丁寧に閉じ込めたような海の色をしていました。赤いんです。もう死ぬ星のような色なのです。あの色は、きっと、人が生きた暁に見る色なんだと私、信じています。

 

そうして、地平線に隠れた光のおかげで辺りは急に闇を纏い始めます。終わりは突然やって来ますから。

 

 

青い。青い。まだ青い私。

 

 もうすぐ、誰にも会えない、一番近いあなたでさえ会えない秋が来ます。