C'est la vie

新大陸の湖畔

唯一無二

彼の世行きの列車には人の顔が見えない乗客。影を色濃くした夕暮れは死んだときに一つだけ持っていきたいものを淡く照らしている。「家族葬」「愛のあるお葬式」だなんて文言が死をちらつかせて精神を削り取る。

 

その純真無垢な仮面のしたに覗く眼は何色なのだろう。世界で唯一無二と思える眼は果たしていくつ?

「君は僕の太陽だ!」って、その口から零れた言葉は途端に命の灯を消す。君のなかに太陽はいくつあるんだい?

あなたは暫く会わないうちに私を忘れて、名前も忘れて、声も忘れて、いっそこのまま首を締めても構わない。あなたという唯一無二はこの世に1つしかないのに、唯一無二だと思える存在はあなた以外にも沢山いるの、この世界。

私はそれを責めない。唯一無二が沢山転がっているこの世界のこと、一瞥しない。

いつかそのお別れが来たとして、私は丁寧に唯一無二の骨を拾ってあげるよ。私もすぐそちらに向かいますから。

 

生きるってどういうことかしら