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Le Nocturne

深淵を覗く時

人生 Episode1

 

ずっと自分とは何者なのか、どこから来たのかを探していた。そうじゃないと僕は僕が僕たる所以を分かってあげられない不安から救えないような気がしたんだ。

僕はもしかしたら海から来たのかもしれないし、はたまた宇宙かもしれない。雪から生まれたかもしれないし、雲だったかもしれない。どうしてヴァイオリンを弾いているのか分からない冬。トンネルを掘り続けることを強要した夜。強くなりたいと思った真夜中。一人がこんなにも怖くて実り豊かな時間だったんだと目が覚める夜明け。

でも不思議なもので、時間が決して巻き戻らないことが救いのような気がするんだ。僕が僕である理由なんかいらないと思えた春。きっと人生はゲームなのかもしれない。満たされたような喜びも、体を貫く悲しみも、空から眺めたこの街を一望する楽しみも、泣きながら晩御飯を食べた悔しさも、全部こんな感情を楽しむための人生なんだと。音楽が教えてくれるの。好きだっていう心だけが時間を前へ推し進めてくれるものなんだよ。それが生きることなんだよって。

ずっと苦しまなくていいんだ。楽しいことは楽しいって声に出せばいいんだ。別に嫉妬したっていいんだ。幸せなら手を叩けばいいんだ。何にも代えられない今しか僕たちは命を燃やすことができないんだ。

移り行く空模様に誰も文句を言わないように、本当に僕の好きな色を見つける旅に出ようよ。そんなことがただの綺麗ごとだと嘆き悲しむ昔の僕も一緒に連れて行ってあげよう。一周回ったこの気持ちは見せかけの強がりなんかじゃない、澄んだ空なんだよ。

 

 


作詞 椎名林檎 
作曲 椎名林檎
唄 東京事変

 

心と云う毎日聞いているものの所在だって
私は全く知らない儘大人になってしまったんだ
頬に注いだ太陽に肖る快感
前を睨んで性を受け直す瞬間
手に取って触るだけで 解った気になっていた私に然様さようなら
妙な甘えでもう誰も失いたくない
逢って答えをそっと確かめたいけど
触れ合いに逃避するのは禁止 戸惑いつつも変えているんだ
生まれてしまった恥じらいを今日嘲笑わず耐えて居たい
私は何度溺れたとして泳ぐことを選んだんだって
宵の苦悩に苛まれながら覚醒
縦横無尽に感じ剥がしていく行程
此処ここで見抜いて新しく会って 向き合う私に気付いて
汚れてしまった恥じらいを今日受け止めて添いたい
私は何度堕ちたとして生きることを選んだんだって
雲すらとうに逃げた後の秋ヶ瀬公園は
私の全く知らない様な刺々しい冬を唄う
心と云う毎日聞いているものの所在だって
私は全く知らない儘大人になってしまったんだ