C'est la vie

新大陸の湖畔

忘れたくないこと

 

朝、少しのコーヒーの匂いに目を覚ましてお父さんとお母さんにおはよう、と言います。

適当に流れるテレビを横目にバターを塗ったトーストをゆっくりかじります。今日の星座占いに家族で一喜一憂したら、あたしは今から会う大切な友達のことを思い浮かべてバスに乗ります。

友達と何気なしに色んな話をして、特に何かを自覚するでもなく、ぼんやり授業を受けながら友達と秘密のお手紙を回して、お昼休みはただあたしのやりたいことをやって、走って、笑って、放課後はちょっとした秘密を共有して、またねってさよならします。

一人の帰り道で今日も楽しかったぁと思った今日という日はもう過去で、朱に伸びる夕焼けに映し出された綺麗な影を爪先でちょんちょんと突つきながらおうちに帰ります。

お父さんとお母さんに今日はどうだった?と聞かれたけど、なんで楽しかったのかはよく分からなくてただ楽しかった!としか言えない。でも何故か二人とも嬉しそうで、なんだか私も嬉しくなりました。

お布団に入ってたら、虫歯になっちゃうから歯みがきしなさいよ~ってお母さんが言っています。あたしはもう眠たいけど、虫歯は嫌だなぁと思って歯を磨きました。

お父さんとおやすみのキスをして、また明日ねって言ってお母さんが優しく抱き締めてくれました。私はお布団で明日の楽しみを一つ、二つ数えて大好きな音楽と一緒に眠ります。

 

君と同じ景色を見たり、同じことを考えたり、一緒に泣いたり笑ったり、好きな音楽を聞いたり、君がそこにいるそれだけで僕らには充分価値があるんだよ。

大事なものを忘れた僕らは何かを埋め合わせるように夜を越えていくのもしれない。

 

あなたと同じ時に会えた幸運を。

 

だけど、本当に、君がそこにいる理由なんてもしかしたら同じトーストを食べながら星座占いに一喜一憂して今日も楽しかったねっておやすみのキスをするだけで充分なんだ。