C'est la vie

新大陸の湖畔

シーズンサヨナラ

突然の春の訪れを錯覚して、あたしは忘れてしまった何かを取り戻した気になってみる。春のそのだらしない温さは、多分一年後には忘れてしまうのかもしれないけれど、そんな永遠を約束しない危うさは確かにあたしを救ってくれるし、こんな日の夜は誰にも会わずにこのだらしなさに甘えるべきだと確信する。

大好きだったものがそれほど好きじゃなくなった瞬間とか、どうでもいいと思ってたものがかけがえのないものだった瞬間とか。時を逆さに数えて、今を積み重ねて行く。

あたしは君の空気だとか、言葉だとか、音楽だとか、意志が好きで、全部が魅力的に見える虜だった。あの頃には絶対戻れないのに、メロディーひとつでいつでも君のもとへあたしは帰れるよ。

今夜の雨は、忘れてしまった虚無を埋めるような素敵な夜で。毎日が幸せで毎日が生まれ変わったような気分になる。

 

醒めきった終点が命の最後に寄り添うように、春がやってくる。

 

『あなたは知らないの 過ぎた季節が 繰り返すことなどないって』

 

30周年おめでとう。