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Le Nocturne

深淵を覗く時

171号線

大阪の祖父母と夜の食事を終え、食後の眠気が私達家族をゆったりとした速度で飲み込んでいく。国道171号線を車で走っているとなんだか今日が12月28日であることにしっくりとくる、と父親が急に呟いた。

「そんな日あるん?」と私が聞くと、彼曰く「この仕事納めでみんな家に帰ってもうた後のこの道路の静けさが年末やねんで」だそうだ。

私は後ろに流れていく街灯に一抹の寂しさを感じながらそれらを横目に「ふーん、そうなんや」としか言えなかった。確かに24時間ずっと光が灯っていることが常識となりつつ昨今の営業業界で22時を過ぎたら街ごと眠ったかのようになるのは珍しいことなのかもしれない。街が眠りに落ちる瞬間は信号しか知らない。山も、川も、店も、人も、みんな暗闇に溶け込んでいく。明日の朝日を待つこの時間が急にいとおしく思えてきて、この年末の廃れたように見える171号線のど真ん中を一人で歩いてみたい衝動に駆られた。