C'est la vie

新大陸の湖畔

予感

暗雲が垂れ込める昼。
空に墨汁を流したかのような雲。
あの先には青があるのに、北風がそんな希望さえ掠め取っていく。
どこか抑鬱的な感情が上野一帯に蔓延っていて、行き交う人々の顔がよく見えない。

冬には夕方と言うものが基本的にない気がする。昼にはいつもどこか早く夜になってしまおうという願望がチラホラ。そんなせっかちさに私たちはいつも負けて、寒さに凍えながら家路につく。

夏の夕暮れ時、昼と夜の境界線、黄昏時、あの世が唯一こちらを覗きに来る瞬間。ああ、懐かしい。

明日は11月なのにも関わらず雪が降るかもしれない。そして私の生まれた日でもあって、自分の人生で誕生日に雪が降るなんて初めてだから、神様はきっとお茶目だ。
雪が降るのが単純に楽しみだった小さな頃のあの気持ちが今、私のなかで顔を覗かせている。そんな少年みたいなこの気持ちを胸に明日の誕生日を迎える。また死に一歩近付くことを知っててもなお。