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Le Nocturne

深淵を覗く時

ラブレター

京葉線と近くにあるマルエツで日常を感じられる特殊能力のおかげでまた一から頑張ろうと思える四月の終わり。 恐らくこれが核心なのだろうという予測は色んなアプローチを元に段々その姿を明るみに晒していく。 恩着せがましく押し付けてくる「ありがとう」…

宮崎・青島

青島に行ってから、左目だけ涙が流れ続けるという特異体質になってしまった。心当たりと言えば、その前日にこなした本番で少々厚化粧をしたときに左目に集中的にアイシャドーが入ったか、はたまた青島の海水に触れた手で目を掻いたか。後者だとしたら私の左…

忘れたくないこと

朝、少しのコーヒーの匂いに目を覚ましてお父さんとお母さんにおはよう、と言います。 適当に流れるテレビを横目にバターを塗ったトーストをゆっくりかじります。今日の星座占いに家族で一喜一憂したら、あたしは今から会う大切な友達のことを思い浮かべてバ…

シーズンサヨナラ

突然の春の訪れを錯覚して、あたしは忘れてしまった何かを取り戻した気になってみる。春のそのだらしない温さは、多分一年後には忘れてしまうのかもしれないけれど、そんな永遠を約束しない危うさは確かにあたしを救ってくれるし、こんな日の夜は誰にも会わ…

刹那

移り行く夕日の影とか。 何か言いかけて口をつぐんだ夕焼けとか。 空の粒子をめいっぱい詰め込んだ楽器とか。 暗い部屋で緩やかに流れることを許された時間とか。 君と一緒に歌った誰も知らない歌とか。 全てが愛しくて、忘れちゃいけない。 この日のために…

間際

「死ぬときってあの世に何を持っていけると思う?」 ここはどこだか分からない。壁も天井も白く、何もかもを浄化する意思を持って僕の周りにそれが佇んでいる。僕はなぜか白み切った夕暮れを映す窓辺に小さな椅子を一つ拵えて、白いベッドに横たわるお姉さん…

言葉にすることで価値が下がることを分かっていても今日だけは許してほしい。 確かにあなたはもう先を見つめていて、その眼差しが何かを捕らえてもう戻ってこないこと。何となく。何となくね。 こんなちっぽけな私だけど、初めて本当の恋をして、愛という感…

遭難

自分の気持ち悪さを何度も拭って拭って、それでもこびりついて取れなくて。自分の中の性を想起させる何かが、そこにずっとあったのに他人に認識されることでやっと輪郭が分かってしまって。今まで目をそらしていたけど。 もうだめ。 気持ち悪い。自信がない…

生きてきた軌跡を何となく辿ってみても、そこに私の証がちゃんとあるのかはちょっぴり自信が無くて。借り物の言葉とか、借り物の思想というフィルターを通してでしか私を見つめることが出来ない。 本当の自分はどこから来たの? 自分の中に生きた証を求めて…

Rêverie

親愛なる...へ 永遠の優しい微睡みを今日もあなたに。 静かに瞼を閉じればほら、貴方にしか会えない夢。 夜色した淡い夢が貴方の四肢を、心を、優しく抱いてくれる。 指先から、唇から、瞼から、色が溶けていく。 今日も舟を漕ぎ出そう。 水面に映る貴方の影…

幸せ

あなたの軌跡を辿る。丁寧に地に埋まった亡骸を拾っていく。冬の色した骨の冷たさを感じる内に、あなたとの距離が肌を通して分かってくるの。あなたが段々輪郭を成して私のなかに立ち上ってくる。あなただって分かっているでしょう。私達はもう死ぬまで永遠…

精神的失恋

良い感じだ。もう過去の一切を忘れられそう。どんどん言葉にしていけ。嘘を吐け。そして自分の内側と皮膚の外側をどんどんずらしていけ。歪ませていけ。可塑性を生かした失恋方法。もう全部忘れて、過去にサヨナラしよう。もっと来い。もっと歪ませろ。いく…

今夜の月はなんだか泣いているみたいだ。伏し目がちなその目に涙の粒が一つ転がって、果てしなく深い藍色に染まってしまいそう。 どうしたの。何があったの。元気だしなよ。 当の本人はもう西の彼方に沈んでしまおうと少しだけ焦っている。怖がらなくていい…

また会おう

僕の中の街が死ぬ。10年の時を経て。 見上げた夜空にはそこかしこに光。西の空に大きな金星。結局最後まであの等間隔に並ぶ星の名前が分からなかったな。星にもちゃんと色があって、なんだか皆が弱々しくも「僕はここにいるよ」って問いかけてきている。小さ…

シール

僕の一番の宝物を君にあげる。 僕の一番大切なシールだよ。 君のことが大好きだからね。 大人達は物々交換の愛を求めるね。 好きって気持ちだけで、みんな救われたら良いのにね。

星2

二人の関係が二人だけにしか分からないものであればいいのに

心のなかを掻き乱されたようで、言葉一つでこんなにも全身から力が抜けていく。今まで何人もの人が過去を変えたいと星に願ってきたのだろう。その願いを星はいくつ叶えてきたのだろう。 僕らは決して戻れないし、年を重ねるごとに固められてしまう歪さに苦し…

井の頭公園

東京の下町に慣れるべく自分の概念をねじ曲げて適応しようとしてきた日々に劇的な終止符が撃たれる。 やはり私の帰るべき世界は森であり、海であり、雪である。決して雑多な日常に唸るバイク音がそこらに蔓延るこんな狭い世界じゃない。水、木、土、孤独を共…