読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Le Nocturne

深淵を覗く時

深海

多分僕は馬鹿なんだと思う。頭の賢さでも、おそらく人間的にも謙遜でもなんでもなく、総合的に見て不器用さが際立っている。汚い。 ああ、まただ。体ごと海の底に沈んでいくこの感覚。耳元で空気が「ゴポ...ゴポ...」と漏れていく音が聞こえてくる。もがけば…

四月への雨

今日は久々に何もない一日を頂いたから、せっかくだし海を見に行こうとも思ったが天の思し召しにより朝から春の雨が優しく降っていてなんともこの外出する気の失せるお天気に素直に従うことを思う。春の雨はだんだん暖かくなるための道しるべみたいなものだ…

昔の話

少し昔の話をしようと思う。 きっと今も昔も生きていく年数だけそれぞれの歴史があって、人には人の歴史の重みがあると信じている。人には人の乳酸菌よろしく。 現在私も沢山の思い出を絶賛大量生産中だ。質も量もバラバラで、だけど死ぬときに例え持ってい…

夕日の色

楽語や音符、音名や表示記号、目に見える情報というものがただただ鬱陶しかったあの秋の暮。どうしたら「音がただそこにある」という演奏に近づくことができるのか、何か外してはいけない筋みたいなものを幾度も乗り越えたその先に見えるまで、まるで真空の…

ある春の日の夜の話

町を歩くと春が近付いているのを如実に感じる瞬間がある。 体感温度がグッと上がっただとか、降りしきる雨に冷たさを感じなくなっただとか、そんな表面の話をしているんじゃない。 春が冬の心を溶かすような、ちょっとの甘さを添えて私を飲み込むその無邪気…

帰還

恐らく夢物語としても、この道は母なる大海原へ、父なる大宇宙へと繋がっていることはバッハなりベートーヴェンなりブラームスが既に証明している事実であり、自らの命を以てして灯をともしその最期の微々たる炎が消えるまで喘ぎながらも泳ぐことを決意した…

顕微鏡でズームばっかりしてるから

音楽に意味なんてないのに、そんな空っぽな自分を守りたがるのは何故なのだろう。ただ好きなだけなのに、こんなに傷ついた気持ちになるのは何故なのだろう。 バンドによくある音楽性の違いによる解散とか言うやつは意外とバカにできないことが分かるし、相手…

恥ずかしい話

恥ずかしい話。 同じ文章を読んでも全く感想が違った。今まで当たり前すぎて気付かなかった。ある文章を僕は涙を堪えながら読んだ。その傍ら世界はそれを鼻で笑っていた。 同じ音楽を聞いていても全く感想が違った。皆似たような感覚を共有しているものだと…

遭難

自分の気持ち悪さを何度も拭って拭って、それでもこびりついて取れなくて。自分の中の性を想起させる何かが、そこにずっとあったのに他人に認識されることでやっと輪郭が分かってしまって。今まで目をそらしていたけど。 もうだめ。 気持ち悪い。自信がない…

未確認に接近中

誰かに演奏を聞かせることは多分異性に裸を見せることと何となく似ているのかもしれない。想像でしか話せないけど、少なくとも今のところそんな感じだ。 恥ずかしい。恥ずかしい。 一途な思いをしたためた昔のラブレターだとか、君のために書いたポエムとか…

Rêverie

親愛なる...へ 永遠の優しい微睡みを今日もあなたに。 静かに瞼を閉じればほら、貴方にしか会えない夢。 夜色した淡い夢が貴方の四肢を、心を、優しく抱いてくれる。 指先から、唇から、瞼から、色が溶けていく。 今日も舟を漕ぎ出そう。 水面に映る貴方の影…

幸せ

あなたの軌跡を辿る。丁寧に地に埋まった亡骸を拾っていく。冬の色した骨の冷たさを感じる内に、あなたとの距離が肌を通して分かってくるの。あなたが段々輪郭を成して私のなかに立ち上ってくる。あなただって分かっているでしょう。私達はもう死ぬまで永遠…

また会おう

僕の中の街が死ぬ。10年の時を経て。 見上げた夜空にはそこかしこに光。西の空に大きな金星。結局最後まであの等間隔に並ぶ星の名前が分からなかったな。星にもちゃんと色があって、なんだか皆が弱々しくも「僕はここにいるよ」って問いかけてきている。小さ…

バッハを人前で弾く意味

この世で弾く意味なんて考えたところでただの思考の空費に終わるだけなんだけれど、一度考えたらもう無視できない存在なので。 結論からいって、ない。と思う。 私たち凡人の奏者はやっぱりどこかで愛されたくて、認めてほしくて、そんな承認欲求がちらほら…

定まらない視線

本物なんてどこにある。 嘘にまみれた言葉使いの僕たちに。 嘘に嘘を塗りたくったのに、どうして本物が見えるというの。 そんな言葉を操って本物を見たような気になっている。 価値が。 ああ。 これ以上知りたくない。

皺寄せ

地元に帰ってきた。 夜空色の壁紙を天井に貼り付けたような東京の夜はここにはない。見渡す限りに、空に空が敷き詰められている。星が星だと主張する。果てしなく黒に染められた空が、確かな緊張感と温度を持って私たちを覆っていた。これなら地球が丸いと納…

本当の孤独は「自分が孤独である」と口にする必要すらも無くなり、しかもその事を語る相手すら居ない。 外界と自己内部の境界線が段々と曖昧になっていく。二つは肌を重ねながらゆっくりと夜に溶けていく。最早音楽が自己の内部にあるのか外部にあるのか分か…

There is no trace left behind

僕らは決して戻れない。 流れ行く歴史を戻せない。 いつも僕らの目は現在から過去を見つめている。 それじゃ何も見えないね。お前のために沢山の言葉が生まれて沢山の言葉が死んだよ。 消えた言葉を弔ってやろう。 闇へと葬り去られないように。 歴史の裏側…

浅草

この土日部屋から一歩も出ないってのもありだけど、なんだか外の天気があまりにも良くて歩かないのは勿体無いと思った。 思い立った瞬間に私は楽器を片付けてケータイと財布と鍵だけ持って外に出ていた。行く宛なんてどこにもないけど。太陽の光も相まって今…

Help

何でそもそもブログを開設するまでに至ったのか、考え出したところでキモいの一言に戻ってくるのだが端的に言えば「伝えられない、言葉に出来ない気持ち」ってのが根底にあってそれを紡ぐ形態を私はいつでも探していた。 言葉は所詮言葉だ。相手をどれだけ思…

夜を越えて行け

私は物事に向き合うまでにかかる時間が人より長い。向き合えてしまえば良いのに、いつも途方もない時間がかかる。 だって、今日も私は敗北するって分かっているから。己の弱さに向き合うことはとても綺麗ではない。美しくない。むしろグロテスクだ。そして、…

白の優しさ

朝。目が覚めて窓越しに体を寄せる。外を見ると雪が降っていた。遂に降ったのだ。寝る間際、若干の期待と降らなかったときの少しの裏切りの絶妙なバランス。おかげでよく眠れなかった。遠足前の小学生と何らかわりない。雪。 雪は私のなかで何かを目覚めさせ…