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計画

ジェニファーの家は大きかった。 大きな庭に大きな遊具と大きなくすの木が生えていた。もう今ではどんな顔をしていたか覚えてないけれど、その茶髪のくるんとしたカールが素敵だった。 大きな遊具には梯子が掛かっている。2階が僕らの基地だった。ちょっと分…

伝言ゲーム

音楽と想い、どちらが先に来るんだろう。 言葉と想い、どちらが先に来るんだろう。 目に見えないものがより優位性を持ってるとしたら。出来れば心のどこかではそのどちらもが対等であってほしいと願っているけれど、テレビのコメンテーターの言葉はどこか薄…

幸せ

あんなに高校の友達と会うことを拒否し続けてたのに、そんな悲しい決意も脇に置かれて懲りずに会いに行く。多分、この気持ちは強がりかもしれないし、全て若さで説明をつけてしまいたいぐらいには私も若い。 帰りの電車は人身事故ですごい遠回りをした。あま…

雑記

どうやら言葉と自分の関係について悩んできた時間と思考の積み重ねは無駄じゃなかったのかもしれない。多分まだとんでもなく甘くて、未熟で、そんなもんじゃないのかもしらないけれど、そういう風に気付かさせてくれた人達にはとても感謝している。 向き合っ…

メモ

昔家族と泊まったホテルのロビーの匂いとか、プールに入りたくて、学校に行きたいとわくわくしていた七月の朝とか、梅雨に見られる一瞬間の晴れ間の時に見られる六月の空気とか、そんな断片的な記憶がどれぐらい音楽と結び付くのかが気になる。

まとまりのない話たち

世の中には二種類の言葉を駆使して二面性のある自分を揶揄する人間がいて、その人たちが使う言語が全く違ってくるのは至極当然の事なのだが、それは結果として自分の目の前に「選択肢」としてぶら下がって来るわけだから多くの混乱を引き起こし、だからじゃあ…

ズレ

自分のおうちから出てみて、色々道草食ってはフラフラして時間を費やして、でもどの葉っぱもなんか違うなって思ってまたおうちに帰る。 そういう意味だと、その延長線上にある性善説とか性悪説とかは本当に興味深い。 私っていつ構成されたんだろう。いつ出…

予防線

昔、小学校の頃に通っていた塾の話。 塾っていうには小さすぎてそんな仰々しいものではなく、個人で経営している近所のおばさんに算数と国語を習いに行っていた。私はまだ3年生で、そこにいた5年生とか6年生の人が私のお姉ちゃんみたいな感じだった。 今でも…

雑記

確かに女の中に備わる月に一度のサイクルとは別に、ある意味精神的なサイクルが存在している。毎週木曜日に風邪をひいたり、満月のころに体調がおかしくなったり、心の元気だけでは乗り越えられないと思うのはまんまとサイクルの思惑に引っ掛かっているだけ…

時空管制塔の従業員による睡眠操作妨害行為について

本格的にブラジル人になったようだ。体がまるで言うことを聞かない。実はちょっと時空が歪んでて、今はほんとは朝なんだけど、世界規模のドッキリに今私は試されているのだ。明日の朝になれば知らない誰かが私の部屋にマイクと「ドッキリ大成功」の看板を携…

思春期を迎えた青年が通過儀礼のように感じる「人生とは何か」というあまりに普遍的過ぎる疑問は、言葉にすること自体あまりの薄っぺらさに危険性を孕むものではあるが、何か一度本物とやらに近付きたいと思ってしまった人間が可愛そうなことに終わりまで見…

帰り道の考え事

使い古したプレイリストを今度こそ履き潰すように耳に注ぎ続ける。今は晴れているけれど、なんとなくくもりの気分だったからプレイリスト「くもり」をチョイス。帰り道には東の空に赤い瞳がにんまりと笑っている。「おいおい、今日も気持ちわりーぞ。」と茶…

ラブレター

京葉線と近くにあるマルエツで日常を感じられる特殊能力のおかげでまた一から頑張ろうと思える四月の終わり。 恐らくこれが核心なのだろうという予測は色んなアプローチを元に段々その姿を明るみに晒していく。 恩着せがましく押し付けてくる「ありがとう」…

もし今、自分が本物を追い求めたくて無我夢中で振り切っていたとして、でもそれってただの猿真似だったんじゃないかと不意に突きつけられる刃は、夜道を一人で歩くときに頬を掠める北風と似ている。

サンダルの下に靴下を履くこのおかしな世界へ

人は一人で生きていけないね。大丈夫、僕が君のそばにいるよ。はいはい。 人間らしさをどこか置いてきてしまった。スマホ片手に「ははは、愉快愉快」とのけぞり笑う。その姿に世界のいびつさを覚え、言葉を失う。自分の思想に価値を持ちすぎた君はもう後戻り…

甘えと情け

心のなかで蠢く正体不明の靄に苛立ちを覚える。誰のせいでもないこの不快感は多分ワタシにしか手に取れない。 「今夜にはもう分かるよ。」という声に「そうだといいな。」と返事をしてみるも、本当はそうはならないでほしかったし、あわよくば一生当事者にな…

幸せと死の二項対立

最近、自分が幸せな時の思考を言語化することの難しさを感じます。苦しい佳境に立たされたときは何とかして言葉という形態をもって捻りだそうと出来ますが、幸福な感情を表に出すときの表現方法がそう言えばわからないなと。どんな風に幸せですか、とか、い…

今日もたくさんの人が死んで、遠い国で爆撃に巻き込まれて死んだ子どもを思って、なんでわたしじゃなかったのかなって思って、海を見て、海に向かって祈って、海に向かって弾いて、それでも尚、私にはまだ「死」を取り扱う資格は本当にないと思ったから暫く…

唯一無二

彼の世行きの列車には人の顔が見えない乗客。影を色濃くした夕暮れは死んだときに一つだけ持っていきたいものを淡く照らしている。「家族葬」「愛のあるお葬式」だなんて文言が死をちらつかせて精神を削り取る。 その純真無垢な仮面のしたに覗く眼は何色なの…

島国

午前2時。 線路の近くにあるこの家に、本物の静寂が訪れる。 本日の業務を終えたJR東日本は沈黙を守り、逆に私はオーディオから音を引き出し始める。 鼻歌まじりに音に合わせて音高を揃えたら、母親にご機嫌ね、と部屋を覗かれる。 どうして涙と海が同じ塩味…

限界突破

日常のなかにある幸福や怒りや楽しみや悲しみは、言葉にならずに空を切る。 もやっと生まれてはもやっと死んでいき、何かを手中に留めようと悪あがきをしてみるけれど、結局忘れてしまうようなことならば手の内に納めたところでそれは大して意味を持たなくな…

桜の開花宣言が東京で言われた頃。僕は彼女と町を歩く。 堰を切ったようにして咲き乱れ始めた花たちの賑わいは人を呼び、鳥を呼び、そうして春を呼ぶ。空気を吸っては吐いてを繰り返して桃色の息吹を体に満たしていく。 「今日も海を見に行こう」 彼女ははそ…

大学生の憂鬱

元来、特別な力というものにはある程度の憧れを抱いていた。小さなころ見た夢に自分で興奮を覚え、その通りにはならなくとも同じような感覚が味わえたらな、という妄想は好きだった。自分の夢に感動していたあの頃の私は単に自慰行為を繰り返していただけだ…

茶番劇

社会人・大人・24歳・女 よく涙を流す。涙の価値が低い。女優並みにいつでも泣けそうな気がする。女優の涙の価値が低い訳ではない。 悲しいから泣くんじゃない。何も考えてなくても泣く。急に心がきゅーっと苦しくなる。小学生ぐらいの女子がいきなり走り出…

京葉線

あたしは今日も潮の風をほっぺたで感じて、電車に乗り込む。身体に馴染んだ制服はあたしが女子高生であることを保障してくれる。美しさと若さと正しさが等しくあると思っているうちが花なのよね。ほら、みんなあたしを見てよ。愛してよ。 京葉線は東京と千葉…

宮崎・県立劇場にて

どんな舞台であれ終わってしまえばあっけなかったの一言に尽きることが多い。技術にも体の使い方にも音楽にかける情熱にも偏りすぎない職人的なバランスのとり方が要求されているような気がした。終わってしまえばまた、私は忘れてしまうのだろうか。忘れた…

思い出再生装置

昔使っていたipodが引っ越しの時に出てきたから充電をして持ってきた。色々故障していたけれど、ミュージックだけは健在だった。 懐かしい曲ばかりで、一曲一曲聞いていくうちに色んな思い出が甦った。それはかなりの色と温度を伴って四肢を満たしていく。 …

深海

多分僕は馬鹿なんだと思う。頭の賢さでも、おそらく人間的にも謙遜でもなんでもなく、総合的に見て不器用さが際立っている。汚い。 ああ、まただ。体ごと海の底に沈んでいくこの感覚。耳元で空気が「ゴポ...ゴポ...」と漏れていく音が聞こえてくる。もがけば…

月 Episode2

いつも見ている月が幾分にも拡大されているような気がしたので、よく目を凝らしてみたものの次第に意識が薄れていった。どうやら、月のことを考えると思考が停止するようにかの組織に操作されているのかもしれない。私はこうべを垂れるまでもなく意識を深く…

人生 Episode1

ずっと自分とは何者なのか、どこから来たのかを探していた。そうじゃないと僕は僕が僕たる所以を分かってあげられない不安から救えないような気がしたんだ。 僕はもしかしたら海から来たのかもしれないし、はたまた宇宙かもしれない。雪から生まれたかもしれ…

四月への雨

今日は久々に何もない一日を頂いたから、せっかくだし海を見に行こうとも思ったが天の思し召しにより朝から春の雨が優しく降っていてなんともこの外出する気の失せるお天気に素直に従うことを思う。春の雨はだんだん暖かくなるための道しるべみたいなものだ…

雑記

お風呂から上がった後の時間は本当に幸せしか詰まっていない。 この時間にはどんなことを考えてもいいし、どんな馬鹿なことを口走ってもどうでもいいし、全部全部微睡みの中に後で落としこんでしまうから何を思ったって許される気がする。 震災から6年が経ち…

昔の話

少し昔の話をしようと思う。 きっと今も昔も生きていく年数だけそれぞれの歴史があって、人には人の歴史の重みがあると信じている。人には人の乳酸菌よろしく。 現在私も沢山の思い出を絶賛大量生産中だ。質も量もバラバラで、だけど死ぬときに例え持ってい…

夕日の色

楽語や音符、音名や表示記号、目に見える情報というものがただただ鬱陶しかったあの秋の暮。どうしたら「音がただそこにある」という演奏に近づくことができるのか、何か外してはいけない筋みたいなものを幾度も乗り越えたその先に見えるまで、まるで真空の…

今日のお天気は曇りのち雨になるでしょう

雨を重ねるごとに近付く春に心が踊るのはやっぱりまだ子どもだからかもしれない。巡り来る春に喜びを感じることが無くなった時が大人になった時だ、ということを誰かが言っていたけどそんなことで大人になれるなら僕は一生子どものままでいいよなぁ、だなん…

上野・入谷にて

その土地での思い出は人との巡り合わせと似ている部分があり、私の場合だと関西から帰ってきた時に見える青白く光るスカイツリーだとか、暗闇に鬱蒼と茂る寺院の木々などが帰ってきたと感じる要因にいつの間にかなり得たのである。 きっとどこに住んだって自…

ある春の日の夜の話

町を歩くと春が近付いているのを如実に感じる瞬間がある。 体感温度がグッと上がっただとか、降りしきる雨に冷たさを感じなくなっただとか、そんな表面の話をしているんじゃない。 春が冬の心を溶かすような、ちょっとの甘さを添えて私を飲み込むその無邪気…

帰還

恐らく夢物語としても、この道は母なる大海原へ、父なる大宇宙へと繋がっていることはバッハなりベートーヴェンなりブラームスが既に証明している事実であり、自らの命を以てして灯をともしその最期の微々たる炎が消えるまで喘ぎながらも泳ぐことを決意した…

特に意味はないのだけれど。

かつての創世記でも記されたように、林檎は罪の果実と言うよりはそれを取って食べるこの行為によって罪そのものの意味が完結するのであるならば、本来この林檎にはそもそも罪の理由もないのに、どういうわけか長い歴史のなかで林檎は罪の果実と間違えられや…

三月のライオン

『鳥に似てる。白くて静かでスッとした感じの。鷺とか鶴とか細くてでっかいやつ。兎と亀ってあるじゃん。あれの兎のもっと上。兎じゃなくて鳥。宗谷を見てると自分は亀か地を這う虫のような気がしてくる。 でもって参るのは兎は過信して自滅してくれるけど、…

忘れたくないこと

朝、少しのコーヒーの匂いに目を覚ましてお父さんとお母さんにおはよう、と言います。 適当に流れるテレビを横目にバターを塗ったトーストをゆっくりかじります。今日の星座占いに家族で一喜一憂したら、あたしは今から会う大切な友達のことを思い浮かべてバ…

シーズンサヨナラ

突然の春の訪れを錯覚して、あたしは忘れてしまった何かを取り戻した気になってみる。春のそのだらしない温さは、多分一年後には忘れてしまうのかもしれないけれど、そんな永遠を約束しない危うさは確かにあたしを救ってくれるし、こんな日の夜は誰にも会わ…

何ともうまくいかない時期

この世で333番目に害悪なことがこんな時間まで起きて尚且ブルーライトを浴びるように見て寝る努力をしないことであるならば、多分332番目ぐらいには、中途半端なやつが中途半端な言葉を中途半端に使うことがランクインするはず。そんな中途半端野郎から出て…

顕微鏡でズームばっかりしてるから

音楽に意味なんてないのに、そんな空っぽな自分を守りたがるのは何故なのだろう。ただ好きなだけなのに、こんなに傷ついた気持ちになるのは何故なのだろう。 バンドによくある音楽性の違いによる解散とか言うやつは意外とバカにできないことが分かるし、相手…

久々に楽しいこと

久々に同郷の人と話が盛り上がった。って言ったって県跨いでるけど。地元について思うことがなんだか似ていた。ありきたりのそれじゃなくて、いや、多分会話的には関西人が故郷の何かを思うそれと何も違いないのだけれど、私もいつのまにか酷い訛りで喋って…

言葉

何故か最近シューベルトばかり聞いている。意識している訳でもないのに、たまたまシューベルトが寄り添ってきてくれたような偶然。ありがたい話かもしれない。 歌曲なんて弦楽器奏者にはよっぽどの機会がないと聞けない。聞こうと思わないと。言葉にすれば価…

演奏者の不在

自分がもういらないと切り捨ててきたもののなかで何か特別な素敵なものに出会えた瞬間は、切り捨ててしまっていた自分の愚かさを恥じる一方でまるで宝物を見つけたような気持ちになる。大げさでもなく、この音楽に出会うために生まれてきたと思える刹那、小…

というわけで

ちょっと目が覚めた気がした。憤慨しているときは自分が世界の矛盾を解きほぐしてやるんだと勇む時空管理局の管理人になった気分だった気がする。 世界の矛盾はもうどうだって覆せないし、矛盾があって丁度良いのかもしれない。時にはその犠牲になって、無力…

恥ずかしい話

恥ずかしい話。 同じ文章を読んでも全く感想が違った。今まで当たり前すぎて気付かなかった。ある文章を僕は涙を堪えながら読んだ。その傍ら世界はそれを鼻で笑っていた。 同じ音楽を聞いていても全く感想が違った。皆似たような感覚を共有しているものだと…

沈黙

等間隔に並ぶ街頭が星の光を掠め取る。今日も夜空色の壁紙を貼っただけの東京の空で、巡り会えたかもしれない大事な何かをこぼして家路に着く。盛者が必ずや墜ちていくこの世界で、何が命を長く保たせることが出来るのだろうか。 格付の命は短い。音楽の効き…